落語とはどんな芸か?江戸落語の華と称された古今亭志ん朝は「暗闇の中を手探りで歩いていて、うっかりおならをしちゃったというような、そんな芸でしょうか」力の抜ける話だが、「皆さまの心の余裕にすがってやる芸ですから…」とも。そんな芸の舞台として志ん朝が愛したのが名古屋の大須演芸場だ。全国でも数少ない寄席で、「日本一客の少ない寄席」として知られる。何しろ客がゼロという日もあった。経営難で何度も閉鎖の危機に襲われ、志ん朝はこの寄席の灯を消さぬため、1970年から10年間、晩年は体調不良を押して、半ば手弁当で独演会を続けたが、ついに終幕の時が来た。家賃滞納での強制執行が、週明けに迫る。落語が「聞き手の心の余裕にすがる芸」なら、寄席は「街の心の余裕がにじむ場」なのだが。東京新聞コラム筆洗2月1日
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